Borracho (酔っ払い)6
その日、女王さまは最初からとばしてた。
妙にハイテンションあ~んど若作りしたお洋服。
声だって聖子ちゃん入ってる。
Sちゃん、聖子ちゃん好きだったもんな~
「せっかくだけど、明日は子供の運動会だから
1次会でかえるぅ~」
はいはい。どうぞそのようになさってください。
1次会の居酒屋を出た時、天然のMちゃんの携帯が鳴った。
そ。ご想像のようにまたオトコ
「え~どうしようかな。今、友達と一緒なの。
それでもいいなら行くけど」
勝手に決めるなよ。
「あのね、ひとりで行きたくないから一緒に来てくれない?」
もう話決まってるよね?
仕方なく付き合って店に入ると岸谷五郎似のオトコが飲んでいた。
は。またご自分の分だけ?
その店に居る間中、岸谷はMちゃんをずっと口説いてた。
私とYちゃんは気持ちよ~く歌ってた。
ふと気づくと少し不機嫌そうなSちゃんが未だいる。
「帰らなくていいの?」
「うん。10時になったら帰る」
岸谷と別れ、いつもの店に。
ここのマスターはとっても口が悪い。
最初に合った時、私の事893のオンナだと思ったなんて言ったんだよ?
信じられない。こんなに品のいいマダム捕まえて。
店に入ると私の中学時代の同級生が飲んでいた。
てかその時点では知らなかった。
私の中学は12クラスもあったから面識はない。
いくら田舎でもそうそう偶然に出会うことはない。
私は昔話に盛り上がり
「私の英語部の発表会のシンデラレ姿見てくれた?」
「英語部なんてあったっけ?」
「てめぇ~」みたいな。
Yちゃんはマスターと盛り上がり
Mちゃんはずっと携帯で話してる。」
あれ?Sちゃんいじけてる?
「帰らなくていいの?」と私
「明日までに帰ればいい」
おへそ横むいてない?
次に気が付いた時にはSちゃんが帰った後だった。
「あれ?Sちゃんは?」
「あいつさ~1次会で帰るって言ってたのに
いつまでも居るからさ。とっとと帰れ!って言ったら
怒って帰っちゃった」
あらら。今日は私じゃないもんね~
遅く帰ったSちゃんが見たものは玄関で仁王立ちしている旦那さんの姿。
そっから説教。
確かにSちゃんは昔可愛かった。
今は1番疲れた顔をしてる。
誰もちやほやしてくれないからイライラしてるの?
教訓:過去の栄光にすがるのはもうやめよう。