Madre (母) 2
コイン精米所って知ってる?
都会にはないだろうけど、うちの近所にはある。
いや、あった。
いつの間にか無くなってたから。
夜遅く、翌朝のお米が無い事に気が付いた母はお気楽に車で出かけて行った。
ここで声を掛けたとしても一切他人の意見は聞かないし
普通のお米の販売機と少し趣が違うなぁとは思ったらしい。
きちんと読めばわかるだろうに。それがきっといい所、多分。
機械には100円投入と書いてある。
「100円じゃあ、ほんのちょっぴりしか出ないのね」
とハンカチで受け止めようとしたらしい。
100円を入れるとすごい音がして、精米の機会が動き出した。
ハンカチの上には2~3粒のお米。
「大体紛らわしいのよね」
怒って帰ってきたけれど、大きな看板を見れない母のほうが紛らわしい。
妹はいい年をしてまだ独身。
てかこれも一昔前の話です。
でもまだたぶんひとりです。
私もひとりだって?ほっといてくださいよ、マジで
妹はいつもしたい事をして、行きたい所に出かけ自由気まま。
長女の私が味わったような厳しい躾もされなかった筈。
そんな彼女がアメリカに出かけた。
彼女を駅まで送った母にお茶に誘われた。
優雅にお茶していたら、母が嬉しそうに話し出す。
「ねぇ?向こうで何かあったら親族が行くでしょ?
その費用は誰が出すの?」
「う~ん、旅行社かなぁ」と私。
「だったらパスポート持って集合ね!」
「アメリカはあんまり行きたいとは思わないけどただならね」
にこにこして嬉しそうに言い放つ母。
はぁ。
教訓:たとえ身内でも気を許さない事。
最近、そんな母に似てきたと言われるのは
心外中の心外